Old Spiceは体に悪い?肌荒れ原因を徹底調査【体験談あり】

金属アレルギー対策のニッケルフリーベルトバックルが1500円で販売中!

オールドスパイス塗布でかゆみが…

オールドスパイス(Old Spice)という制汗剤があります。アメリカのブランドで、日本のスーパーやドラッグストアではあまり見かけません。この間、米軍基地でフェスティバルが開催されていて、中のスーパーで初オールドスパイスを購入しました。トーフビーツさんがYouTubeで「オールドスパイスのPure Sportを使っている」と言っていたので、Pure Sportという香りを選択。

オールドスパイスを脇に塗布するようになってから半年ぐらい経った頃、脇が赤くなり、痒くなってしまいました。かくと悪化します。ベルトバックルを着用していた時に腹部に出た湿疹と似ています。「制汗剤・デオドラントのアレルギー」という英語論文ページに、脇下のアレルギー画像が掲載されていますので気になる方はそちらもご覧ください。

パッケージを見てみると成分表示のActive Ingredient(有効成分)にAluminum Zirconium tetrachlorohydrexとあります。ジルコニウム/アルミニウム関連の制汗作用が認められた成分です。

私ははじめ、この成分がアレルギーの原因なのかもしれない、と思いました。「塩化アルミニウムは制汗作用を持つが肌がかぶれることがある」と言われているからです。

今まで報告された副作用で一番多いのは,外用液による刺激性接触皮膚炎であり,外用の中止またはステロイド軟膏の外用により軽快する.刺激性接触皮膚炎を軽減させる方法としては,濃度を薄める.投与間隔の調節,短時間外用で洗い流すなどの工夫を取り入れる.

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/takansho2023.pdf

多くの病院がパッチテストの試薬金属に塩化アルミニウムも含めています。

制汗剤と皮膚刺激成分

しかし!制汗剤に含まれる塩化アルミニウムが肌を刺激しているというエビデンスは少ない、と複数の論文や情報誌で述べられています。

Aluminium is not regarded as a skin sensitiser. Aluminium chloride was tested in a murine local lymph node assay (LLNA) at doses up to 25% and there were no indications of a skin sensitisation potential (Basketter et al., 1999).

https://health.ec.europa.eu/system/files/2021-11/sccs_o_235.pdf

There is limited evidence that aluminium compounds can cause contact allergy in humans. However, taking into account the widespread use of these compounds, the SCCS considers this to be a rare phenomenon.

https://health.ec.europa.eu/system/files/2021-11/sccs_o_235.pdf

こちらの研究ではパッチテストでデオドラント製品に含まれる香り成分へのアレルギーが判明した被験者が掲載されています。香り成分(Fregrance)とプロピレングリコールが皮膚への刺激の主な原因であると述べられています。

This irritant property of PG is particularly relevant to antiperspirants and deodorants, where long-term occlusion in the underarm area may contribute to the induction of irritant dermatitis.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3013594/

英語版WikipediaのDeodorantのページでは、zirconiumはアレルギーを引き起こす、プロピレングリコールは炎症を引き起こす、塩化アルミニウムは刺激が少ない、と引用元と合わせて記されています。

After using a deodorant containing zirconium, the skin may develop an allergic, axillary granuloma response.[28] Antiperspirants with propylene glycol, when applied to the axillae, can cause irritation and may promote sensitization to other ingredients in the antiperspirant.[29] Deodorant crystals containing synthetically made potassium alum were found to be a weak irritant to the skin.[21] 

https://en.wikipedia.org/wiki/Deodorant#Health_effects

Old Spice製品裏のInactive IngredientsにはPPG-14という成分が記載されています。これが、プロピレングリコールっぽいです。

PPG-14 Butyl Ether is a polypropylene glycol ether of butyl alcohol.

https://www.ewg.org/skindeep/ingredients/705247-PPG14_BUTYL_ETHER

プロピレングリコールは接触性皮膚炎を引き起こす成分として広く知られているようです。

PGは 高濃度では皮膚刺激性があり2)また皮膚に連用すれば累積刺激皮膚炎を生 じる可能性も指摘されている。PGによる皮膚感作性は低いとされ てい るが1),アレルギー性接触皮膚炎の報告もすでにいくつか散 見されている3~8)。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/26/4/26_4_859/_pdf/-char/ja

The American Contact Dermatitis Society (アメリカ接触性皮膚炎協会)が毎年行うAllergen of the Year(今年のアレルゲン大賞)では、2018年にプロピレングリコールが選ばれています。そんな協会や賞が本当に存在するのか、と思うかもしれませんが、ほんとにあるようです。

Allergen of the Year is an annual “award” voted upon by the American Contact Dermatitis Society.

https://en.wikipedia.org/wiki/Allergen_of_the_Year

Propylene glycol (PG), an emollient and emulsifier found in cosmetics, medications, and food, has been granted the dubious honor of being named the American Contact Dermatitis Society’s Allergen of the Year for 2018.

https://www.liebertpub.com/doi/10.1097/DER.0000000000000315

なおアルミニウムは2022年の大賞を獲得しています。

Allergy to aluminum-containing antiperspirants manifests as axillary vault dermatitis.

https://www.mdedge.com/dermatology/article/256133/contact-dermatitis/aluminum-2022-american-contact-dermatitis-society

ニッケルは2008年に受賞しています。ニッケルは金属アレルギーの主要な原因であると知られています。引用元リンクでは、ベルトによる金属アレルギーの症状画像も掲載されています。

The American Contact Dermatitis Society has proclaimed nickel as its 2008 Allergen of the Year because of its rise as a cause of significant contact
dermatitis in the United States, particularly among children.

https://cdn.mdedge.com/files/s3fs-public/issues/articles/70231_main_10.pdf

私が使用していたOld Spiceの成分表示には、アルミニウム、ジルコニウム、香料、プロピレングリコールが記載されていました。現段階では「原因はこいつだ!」と断定は出来ません。

調査をした結果言えることは、制汗剤やデオドラントが皮膚炎を引き起こす可能性がある、ということ。特に皮膚が弱い方や金属アレルギーの方は注意した方がいいです。肌が赤くなったら使用を止めましょう。私も塗布を止めたら良くなりました。心配なら皮膚科でお医者さんに相談してください。

ニッケルを含まないベルトバックルは金属アレルギーにおすすめ!ニッケルフリーのベルトバックル記事で紹介しています。

ちなみに私はパッチテストで自身のニッケルアレルギーを確認済みです。記事はこちら:【画像あり】金属アレルギーのパッチテストを受けてみた結果ww

オールドスパイス輸入禁止説

「オールドスパイスは塩化アルミニウムを含むため輸入禁止となった」説があります。こちらについても調べてみました。

オールドスパイスHE(オールドスパイスHigh Endurance、上の赤いやつ)を輸入した会社が自社回収したそうです。

(1) 当該商品に「デオドラント」等と化粧品の効能効果を逸脱した表示をし、制汗剤は医薬部外品に該当するた
め自主回収することにしました。
(2) 当該商品のオールドスパイスの製造販売届で届出た販売名と製品表記名に誤記があり、自主回収いたします。

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kaisyu/2017/kaisyuu2017-2-8092.html

分かりやすく説明すると、日本の法律では「化粧品」として販売されている製品は「デオドラント」という言葉を使うことが出来ません。「医薬部外品」であれば「デオドラント」を名乗ることができます。回収されたOld Spiceは化粧品として販売されていたにも関わらず、「デオドラント」と表示されていたのです。

ちなみに私のPure Sportは白パッケージです。白と赤の違いを調べてみると、白の方はAntiperspirant & Deodorantと記載されている一方、赤パッケージの方はAntiperspirantの記載がなく、Deodorant・Aluminum Freeと記載されています。

Antiperspirantとは制汗剤という意味。赤はAntipersipirantではないので制汗作用がなく、香りのみということ。制汗成分であるアルミニウムに関する成分は入っていないわけです。

制汗剤と皮膚に関する参考文献